哲学~近代哲学④~大陸合理論①デカルト
前回、「近代哲学」はいつからなのか?を整理しまして
今回は、近代哲学の父と称されるフランスの哲学者ルネ・デカルト(17C)を整理したいと思います。
【時代背景】
コペルニクスらにより地動説の科学的検証など、これまで神を中心として体系付けられてきた価値観が大きく揺らいだ時代です。
それまで真理とされてきたものが揺らぐ中、哲学の問いは
「人間は何を知りうるか?」
「確実な知とは?」
というものが中心となりました。
【合理論】
デカルトは大陸合理論の祖とされ、
理性を重んじ、論理的推論を確実な知の源泉とする立場です。
知を導く手法としては、演繹法を重視します。
聞き慣れない言葉ですが「普遍的原則から始め、より個別・具体的な結論を求める」のが演繹法で、定義や定理を用いて個別の問題を証明していく幾何学のイメージです。
幾何学だけでなく、「赤道に近いほど、温暖な気候になる」というものを原則として「北海道より沖縄の方が暖かいはず!」と推論するのは演繹法です。私たちの生活の中でもごく普通に使われている考え方ですね。
また、演繹法は決してデカルトのオリジナルではなく、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが『オルガノン(論理学)』の中で整理しており、この論理学を重視する立場はデカルト以前から合理主義と呼ばれてきました。
さらには中世のスコラ哲学もまた、トマス=アクィナス(13C)が神学にアリストテレス哲学を取り入れており、神(または聖書やカトリック教会)を普遍的なものとして、演繹法を用いて世界を体系付けています。
つまりデカルトは古代ギリシャからの合理主義を引き継ぐ一方で、
それまでの真理が揺らぐ中で生じた「確実な知とは?」という問いに対して
アリストテレスやスコラ哲学とは異なるものを主張していく立場です。
そんなわけで今回は彼の立場を整理してきました。
次回は、その立場を踏まえてデカルトの主張を整理していきます。